ブランドづくりは、自社を知ることから始まる。「私たちの会社には、特別な強みなんてありません。」経営者の方から、この言葉を聞くことがあります。ですが、私はそう思ったことがありません。どの会社にも、必ず選ばれている理由があります。長く続いている会社には、長く続いてきた理由があります。社員が辞めない会社には、辞めない理由があります。紹介が多い会社には、紹介される理由があります。その理由こそが、ブランドの始まりです。ブランドという言葉を聞くと、多くの人はロゴやホームページ、広告やデザインを思い浮かべます。もちろん、それらもブランドを伝えるためには欠かせません。しかし、それらはすべて「伝える手段」です。ブランドそのものではありません。ブランドとは、「なぜ、この会社が選ばれているのか。」その答えを見つけることです。この記事では、自社の中に眠っている価値を見つけるための考え方についてお伝えします。ブランドは、外につくるものではない。ブランディングという言葉には、「新しく何かをつくる」というイメージがあります。ロゴを新しくする。ホームページをリニューアルする。写真を撮り直す。動画を制作する。確かに、そうした制作物もブランドづくりの一部です。ですが、本当にブランドが生まれる場所は、会社の外ではありません。会社の中です。創業した理由。大切にしている価値観。社員同士の会話。お客様との約束。地域との関係。毎日積み重ねている仕事。ブランドとは、それらすべての積み重ねです。だから私たちは、ブランドづくりを始めるときに、まず会社の中を見つめます。デザインを考える前に、「何を大切にしてきた会社なのか。」を考えます。ブランドは、新しくつくるものではなく、見つけるものなのです。「当たり前」が、一番の価値になる。企業には、「当たり前」があります。毎朝、社員同士で挨拶をする。電話は三コール以内に出る。お客様から相談があれば、その日のうちに返事をする。納期は必ず守る。掃除は全員で行う。こうしたことは、その会社では当たり前かもしれません。でも、その当たり前は、他の会社では当たり前ではないことがあります。そして、その積み重ねが「この会社らしさ」になります。ブランドとは、派手なものではありません。むしろ、毎日続けている小さな行動の中にあります。私たちはブランドづくりの打ち合わせで、よくこんな質問をします。「会社の中で、当たり前に続けていることはありますか。」すると、多くの方が最初は首をかしげます。「特にありません。」そう答えられることも少なくありません。しかし、お話を伺っていくと、「そういえば創業以来、一度も納期を守れなかったことはありません。」「社員の誕生日には必ず全員でお祝いしています。」「困っているお客様には、利益よりも先に対応しています。」そんなエピソードが自然と出てきます。私たちは、その瞬間が好きです。本人たちは当たり前だと思っていたことが、実は他社にはない価値だったと気づく瞬間だからです。ブランドは、特別なものではありません。当たり前の中にこそ、本当の価値があります。社員に聞くと、本当のブランドが見えてくる。ブランドは、経営者一人でつくるものではありません。社員一人ひとりが感じている会社の魅力。毎日働く中で大切にしていること。お客様から言われてうれしかった言葉。こうした声の中に、本当のブランドがあります。「うちの会社の良いところは?」そう聞くと、経営者と社員では答えが違うことがあります。その違いも、大切な発見です。ブランドづくりとは、「正しい答え」を探すことではありません。さまざまな声を集めながら、その会社らしい共通点を見つけていくことです。だから私たちは、ブランドづくりを一人で進めません。会社全体で進めます。それが、長く育つブランドになると考えているからです。ブランドは、「答え」ではなく「問い」から始まる。ブランドづくりというと、「正解」を探そうとしてしまうことがあります。どんなロゴがいいのか。どんなデザインがいいのか。どんなキャッチコピーがいいのか。もちろん、それらも大切です。しかし、本当に良いブランドは、最初から答えが決まっているわけではありません。むしろ、良いブランドほど、多くの問いから生まれています。「私たちは、何のために仕事をしているのだろう。」「お客様は、なぜ私たちを選んでくださるのだろう。」「10年後も変わらず大切にしたいことは何だろう。」こうした問いに向き合い続けることで、会社の軸が少しずつ見えてきます。ブランドとは、一度つくって終わるものではありません。会社が成長し、社員が増え、社会が変化していく中で、その都度問い直しながら育てていくものです。だから私たちは、ブランドづくりを「答えをつくる仕事」ではなく、「問いを育てる仕事」だと考えています。まずは、自社の物語を書き出してみる。もし、この記事を読んで「ブランドについて考えてみたい」と思っていただけたなら、ぜひ一度、会社の物語を書き出してみてください。難しく考える必要はありません。例えば、こんな問いから始めてみてください。なぜ、この会社を創業したのか。創業当時から変わらず大切にしていることは何か。お客様から最もよく言われる言葉は何か。社員が誇りに思っていることは何か。地域に対して、どんな存在でありたいか。すべてに答えが出なくても構いません。大切なのは、考え始めることです。ブランドづくりは、立派な資料をつくることから始まるのではありません。会社について、改めて語り合う時間を持つことから始まります。その時間が、企業の未来をつくる土台になります。良いブランドは、良い会社から生まれる。私たちは、「ブランドをつくる会社」ではありません。「ブランドが育つ会社」を増やしたいと思っています。そのためには、派手なデザインよりも、会社の中で交わされる会話の方が大切です。経営者が想いを語ること。社員が仕事への誇りを共有すること。お客様の声に耳を傾けること。地域とのつながりを大切にすること。そうした日々の積み重ねが、やがて企業のブランドになります。ブランドとは、会社の外側を飾るものではありません。会社の内側から自然とにじみ出るものです。だからこそ、私たちはブランドづくりを「企業の未来を育てる仕事」だと考えています。DISCOVERの終わりに。ここまで、4つの記事を通してブランドについてお伝えしてきました。ブランドとは何か。制作会社との違い。北海道企業だからこそブランドが必要な理由。そして、自社の価値を見つめ直すこと。もし、ここまで読んでくださったのであれば、きっと「ブランド」という言葉の見え方が少し変わったのではないでしょうか。ブランドは、特別な企業だけのものではありません。どんな会社にも、ブランドになる価値があります。大切なのは、その価値に気づくこと。そして、それを未来へつないでいくことです。ここから先は、「見つける」だけではありません。次の章では、その価値をどう言葉にしていくのかを考えていきます。まとめブランドづくりは、自社を知ることから始まる。ブランドとは、会社を良く見せるための技術ではありません。会社が大切にしてきた価値や想いを整理し、それを社会へ正しく届けるための営みです。だからこそ、最初に必要なのは、新しいロゴでも、新しいホームページでもありません。「私たちは、何で選ばれている会社なのか。」その問いに向き合う時間です。ブランドづくりは、その一歩から始まります。この記事でお伝えしたかったことブランドは、新しくつくるものではなく、会社の中にある価値を見つけることから始まります。その価値は、日々の仕事や社員の想い、お客様との信頼関係の中にあります。答えを急ぐのではなく、問いを重ねながら、自社らしさを見つけていくこと。それが、長く選ばれるブランドへの第一歩です。あなたの会社の価値は、もう、会社の中にあります。創造企画室では、企業の価値を一緒に見つけ、言葉にし、未来へ育てていくブランドづくりをご支援しています。まずは、あなたの会社の物語を聞かせてください。→ CONTACT参考文献・出典中小企業庁「ブランドの構築・維持に向けた取組」2022年版中小企業白書|ブランドの構築・維持北海道経済産業局・北海道知的財産戦略本部「地域ブランド」地域ブランド中小企業基盤整備機構 J-Net21「商品をブランド化するには、どのようにすれば良いのでしょうか?」J-Net21|商品をブランド化するには