企業の価値を一言で伝えるための考え方「ブランドコンセプトを考えましょう。」ブランドづくりが始まると、必ずと言っていいほど出てくる言葉です。しかし、「ブランドコンセプトとは何ですか?」と聞かれると、意外と答えに迷う方も少なくありません。キャッチコピーでしょうか。企業理念でしょうか。スローガンでしょうか。どれもブランドコンセプトと関係がありますが、そのものではありません。ブランドコンセプトとは、企業が社会に対して、どんな価値を届ける存在なのかを表す"軸"です。ホームページ。採用サイト。会社案内。SNS。広告。営業資料。どのような発信をするときも、その中心には同じ考え方がなければ、一貫したブランドにはなりません。だからこそ、ブランドづくりではデザインよりも先に、コンセプトを整理することが重要になります。この記事では、ブランドコンセプトの役割と、企業にとってなぜ必要なのかをお伝えします。ブランドコンセプトは、「伝えるための軸」である。企業には、それぞれの想いがあります。創業した理由。大切にしている価値観。お客様への約束。社員と共有したい未来。しかし、それらをすべて一度に伝えることはできません。伝えたいことが多ければ多いほど、受け取る側には何も残らなくなってしまいます。そこで必要になるのが、ブランドコンセプトです。ブランドコンセプトとは、企業の想いや価値を削るものではありません。たくさんある想いを整理し、「私たちは、こういう会社です。」と、一言で伝えられる状態にまとめることです。その一言があることで、ホームページの文章も、採用メッセージも、会社案内も、すべてが同じ方向を向き始めます。ブランドコンセプトは、企業の価値を制限するものではなく、価値を伝わりやすくするための軸なのです。企業理念とブランドコンセプトは、何が違う?企業理念とブランドコンセプトは、似ているようで役割が少し違います。企業理念は、「私たちは何のために存在し、何を大切にして仕事をするのか」を示すものです。社員が迷ったときの判断基準となり、会社の文化や行動の土台になります。一方、ブランドコンセプトは、その会社が持っている価値を、「お客様や社会に、どんな価値として伝えていくのか」を整理したものです。つまり、企業理念が「会社として大切にすること」なら、ブランドコンセプトは「その大切なことを、どう伝わる形にするか」。企業理念を土台にブランドコンセプトを整理することで、その会社らしい言葉やデザイン、発信へとつながっていきます。コンセプトは、「かっこいい言葉」を考えることではない。ブランドコンセプトを考えると、多くの企業は言葉づくりから始めようとします。短く。覚えやすく。おしゃれに。もちろん、そうした工夫も大切です。しかし、それは最後の工程です。本当に大切なのは、その言葉の背景にある考え方です。例えば、「未来を創る。」「挑戦し続ける。」「人を大切にする。」どれも魅力的な言葉です。しかし、会社名を隠したら、その企業だと分かるでしょうか。多くの場合、答えは「いいえ」です。良いブランドコンセプトには、その会社にしかない視点があります。創業者の想い。地域との関わり。お客様との約束。社員が大切にしている姿勢。こうした積み重ねがあるからこそ、「この会社らしい」と感じられる言葉になります。私たちは、コンセプトを考える前に、まず会社の歴史や日々の仕事について丁寧にお話を伺います。言葉は、机の上だけでは生まれません。会社の中にある価値を整理した先に、自然と見えてくるものだからです。良いブランドコンセプトには、「らしさ」がある。世の中には、数え切れないほどのブランドコンセプトがあります。その中で、本当に印象に残るコンセプトには共通点があります。それは、「その会社でしか言えない言葉」になっていることです。誰にでも当てはまる言葉ではなく、その企業だからこそ語れる言葉。そこにブランドの力があります。ブランドコンセプトは、目立つための言葉ではありません。「らしさ」を言葉にした結果、多くの人に共感されるものです。だからこそ、私たちはコンセプトをつくるのではなく、「見つける」という表現を大切にしています。ブランドコンセプトは、会社の判断基準になる。ブランドコンセプトがある会社と、ない会社。その違いは、日々の意思決定に表れます。例えば、新しいホームページを制作するとき。「かっこいいデザインにしよう。」という判断だけではなく、「このデザインは、私たちらしいだろうか。」という視点が生まれます。採用ページでも同じです。給与や福利厚生だけを並べるのではなく、「私たちは、どんな仲間と働きたいのか。」というメッセージを伝えられるようになります。パンフレット。営業資料。SNS。広告。会社案内。すべてに共通するのは、「何を伝えるか」ということです。ブランドコンセプトは、そのすべての判断基準になります。だから私たちは、ブランドコンセプトを「コピー」ではなく、「経営の軸」と考えています。良いブランドコンセプトをつくるための3つの視点では、ブランドコンセプトはどのように考えればよいのでしょうか。創造企画室では、まず次の3つの視点から整理していきます。1. 私たちは、誰のために存在しているのか。商品やサービスではなく、「誰の役に立ちたいのか」を考えます。対象が明確になることで、伝える言葉も自然と整理されていきます。2. 私たちは、何を約束する会社なのか。価格でしょうか。品質でしょうか。対応でしょうか。あるいは、安心感や挑戦する姿勢かもしれません。会社として、変わらず大切にしていきたい約束を見つけることが重要です。3. 私たちらしさは、どこにあるのか。創業の背景。地域とのつながり。社員の文化。お客様との関係。どの会社にも、「らしさ」があります。そのらしさを言葉にできたとき、ブランドコンセプトは初めて企業のものになります。この3つの問いに正解はありません。だからこそ、対話を重ねながら、一緒に整理していくことが大切だと考えています。ブランドコンセプトは、完成ではなく育てるもの。ブランドコンセプトを決めたら、それで終わりではありません。会社は成長します。新しい仲間が加わります。新しい事業が始まります。社会も変化していきます。その中で、ブランドコンセプトは少しずつ深まり、育っていきます。言葉そのものが変わらなくても、その意味は経験とともに豊かになっていきます。だからブランドコンセプトは「完成品」ではなく、「育てていくもの」。私たちも、一度コンセプトを整理したあとも、お客様と対話を続けながら、その会社らしさを磨いていきたいと考えています。言葉は、会社の未来をつくる。ブランドコンセプトは、単なるキャッチコピーではありません。企業の価値を整理し、社内外へ共有し、未来へつないでいくための土台です。言葉が変わると、伝わり方が変わります。伝わり方が変わると、人との出会いが変わります。採用される人も。選ばれるお客様も。一緒に働くパートナーも。少しずつ変わっていきます。だから私たちは、ブランドづくりの中で「言葉」をとても大切にしています。良い言葉は、会社の未来を変える力を持っているからです。まとめブランドコンセプトは、企業の価値を伝える軸。ブランドコンセプトとは、目立つ言葉をつくることではありません。会社が大切にしてきた価値を整理し、「私たちは、こういう会社です。」と伝えられる状態をつくることです。その軸があることで、ホームページや採用活動、営業資料、SNSなど、すべての発信に一貫性が生まれます。ブランドづくりを始めるなら、まずは言葉を考えるのではなく、会社の価値を見つめ直すことから始めてみてください。この記事でお伝えしたかったことブランドコンセプトは、企業を飾るための言葉ではありません。企業の価値を整理し、社内外に共有し、未来へつないでいくための「軸」です。その軸は、一日で生まれるものではなく、対話を重ねる中で少しずつ育っていきます。だからこそ、ブランドコンセプトは「考える」のではなく、「見つけていくもの」だと私たちは考えています。良いブランドは、良いコンセプトから始まります。創造企画室では、ホームページやロゴの制作よりも先に、企業の価値や想いを整理することを大切にしています。まずは、あなたの会社らしさを一緒に見つけてみませんか。→ CONTACT参考文献・出典中小企業庁「ブランドの構築・維持に向けた取組」2022年版中小企業白書|ブランドの構築・維持特許庁「中小企業のためのデザイン経営ハンドブック」中小企業のためのデザイン経営ハンドブック中小企業基盤整備機構 J-Net21「商品をブランド化するには」J-Net21|ブランド化の考え方